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2025.06

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解体工事のその先:地球に優しい「産業廃棄物」の循環と不法投棄ゼロへの道

建物としての寿命を終え、新たな土地活用や再開発のために行われる解体工事。そのダイナミックな作業の陰には、大量に発生する「産業廃棄物」の存在があります。産業廃棄物というと、どこかネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これらは単なるゴミではなく、適切に処理され、循環することで地球環境に貢献できる大切な資源でもあるのです。

この記事では、解体工事で発生する産業廃棄物がどのような道をたどり、なぜ適切な処理が重要なのか、そして不法投棄というリスクを避けるために私たちが知っておくべきことについて、わかりやすく解説していきます。

解体工事で出る「産業廃棄物」って、どんなもの?

まず、産業廃棄物とは何か、から見ていきましょう。一般家庭から出る「一般廃棄物(燃えるゴミ、燃えないゴミなど)」とは異なり、事業活動に伴って生じる廃棄物のことを「産業廃棄物」と呼びます。

解体工事においては、主に以下のものが産業廃棄物として分類されます。

  • コンクリート塊(がれき類)

 建物の基礎や構造材など、最も量が多く出る廃棄物です。

  • アスファルト・コンクリート塊

駐車スペースや通路などで使われていたものです。

  • 木くず

柱、梁、内装材など、木造部分や木製建具などから発生します。

  • 金属くず

鉄骨、配管、サッシ、エアコンの室外機など、様々な種類の金属が含まれます。

  • ガラスくず・陶磁器くず

窓ガラスやタイル、衛生陶器などが該当します。

  • 廃プラスチック類

 壁紙、断熱材、配線被覆、塩ビパイプなど、多岐にわたります。

  • 石膏ボード

 壁や天井に使われている建材です。

  • アスベスト含有建材

特定の建物、特に古い建物では、健康被害を引き起こすアスベストが含まれている建材が見つかることがあります。アスベスト含有建材はは非常に厳格なルールに基づいて処理される必要があります。

これらの廃棄物は、種類ごとに分類され、それぞれに適した方法で処理されることになります。

適切な処理が地球を救う:3R+αの取り組み

解体工事で発生する産業廃棄物の処理は、「3R(スリーアール)」と呼ばれる考え方が基本となります。

1.Reduce(リデュース:発生抑制)

そもそもゴミを減らす努力です。解体設計の段階から、再利用可能な部分を考慮するなどが挙げられます。

2.Reuse(リユース:再利用)

まだ使えるものは、そのままの形で再度利用することです。建具や特定の部材を中古品として流通させるなどが考えられます。

3.Recycle(リサイクル:再資源化)

廃棄物を分解し、新たな製品の原料として利用することです。

特に解体工事においては、「リサイクル」が非常に重要な役割を果たします。

  • コンクリート塊

細かく砕いて、道路の路盤材や建築物の基礎材(再生砕石)として再利用されます。

  • 木くず

バイオマス発電の燃料、堆肥、木質ボードの原料などに生まれ変わります。

  • 金属くず

溶解されて、新たな金属製品の原料となります。

  • アスファルト・コンクリート塊

新たなアスファルト舗装の材料として再利用されます。

このように、廃棄物がただ捨てられるのではなく、新たな価値を持つ資源へと生まれ変わることで、天然資源の消費を抑え、環境負荷を低減する「循環型社会」の実現に貢献しているのです。

さらに、近年では「サーキュラーエコノミー(循環経済)」という概念も注目されています。これは、廃棄物という概念をなくし、すべてのものを資源として捉え、経済活動全体で資源を循環させていくという、より進んだ考え方です。解体工事の現場でも、この考え方を取り入れ、建材の再利用や再資源化を最大限に進める努力が求められています。

なぜ不法投棄は絶対にいけないのか?そのリスクとは

産業廃棄物の適切な処理が重要である一方で、残念ながら「不法投棄」という問題も存在します。不法投棄とは、法律に定められた許可を得ずに、あるいは定められた場所以外に廃棄物を捨てる行為です。

不法投棄は、単に法律違反であるだけでなく、以下のような深刻な問題を引き起こします。

  • 環境汚染

有害物質が土壌や地下水に染み出し、周辺の生態系に悪影響を与えたり、人々の健康を害する可能性があります。

  • 景観の悪化

無秩序に捨てられた廃棄物は、地域の景観を損ない、地域のイメージダウンにつながります。

  • 処理費用の負担

不法投棄された廃棄物の撤去・処理には、多大な費用がかかります。これは最終的に税金として、私たち国民が負担することになります。

  • 企業の信頼失墜

不法投棄に関与した企業は、社会的な信用を失い、事業継続が困難になることもあります。

不法投棄は、私たち全員にとって「百害あって一利なし」の行為なのです。

私たちができること:賢い解体業者選びのポイント

建物の解体を検討されている方にとって、産業廃棄物の適切な処理は非常に重要なテーマです。では、不法投棄のリスクを避け、地球に優しい解体工事を実現するために、私たちは何をすれば良いのでしょうか。

最も大切なのは、信頼できる解体業者を選ぶことです。優良な解体業者は、以下の点に配慮しています。

  • 産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可を所有しているか

各都道府県知事の許可が必要です。契約前に必ず確認しましょう。許可番号が明記されているか、実在するかを調べてみましょう。

  • マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行しているか

産業廃棄物がどこから排出され、どこへ運ばれ、どのように処理されたかを記録する書類です。排出事業者はこのマニフェストの発行・管理が義務付けられています。適切に運用されているか確認しましょう。

  • 分別を徹底しているか

解体現場で廃棄物の種類ごとに細かく分別することで、リサイクル率が高まり、最終処分量を減らすことができます。現場の清掃状況や分別の様子も確認のポイントです。

  • 明確な見積もりを提示しているか

廃棄物の処理費用は、その種類や量、運搬距離によって大きく変動します。適正な価格で、内訳が明記されているか確認しましょう。

  • 環境への配慮を説明してくれるか

廃棄物のリサイクルや、環境負荷低減への取り組みについて、具体的に説明してくれる業者を選びましょう。

解体工事は、単に建物を壊すだけではありません。その後の産業廃棄物の行方まで責任を持つことが、現代社会における企業の責務であり、私たち一人ひとりの環境意識が問われる部分でもあります。

まとめ:解体工事は、未来への投資

解体工事は、古いものをなくし、新たな価値を生み出すための大切なプロセスです。その過程で発生する産業廃棄物は、適切に処理されれば、新たな資源として地球の未来を支えることができます。

信頼できる解体業者を選び、産業廃棄物の適切な処理に目を向けることは、不法投棄のリスクをなくし、持続可能な社会の実現に貢献する「未来への投資」と言えるでしょう。

このコラムが、皆様の解体工事における疑問を解消し、より良い選択をするための一助となれば幸いです。

解体工事に関する疑問や不安をお持ちでしたら、国分ハウジンググループ 解体専門店までお気軽にご相談ください。

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